ホーウィン社が鞣した革でシェルコードバンと人気を二分するのがクロムエクセルです。

タフで水や傷にも強いと評判のクロムエクセルですが「実際のエイジングはどう進むの?」「コードバンほどの満足感は得られる?」と疑問に思っているあなたへ、その本質的な魅力を徹底解説します。

今回この記事を書くにあたってGANZOのクロムエクセル、GH5-Cシリーズのコンパクト財布を購入してみました
僕はコードバンや牛革など様々な革製品を長年愛用し、合計40以上の革小物を所有するほどの革マニアです。
この記事では、ホーウィン社が生んだクロムエクセルレザーの本質的な魅力、その最大の特徴である「茶芯」のエイジング、そしてシェルコードバンとの明確な違いについて革マニアの視点で詳しく解説します。
この記事を読めば、クロムエクセルの魅力が深掘りできます。
クロムエクセルはシェルコードバンにはない独自の魅力を持つ革です。
クロムエクセルはあなただけのヴィンテージ感を持った財布になり、唯一無二のパートナーとなってくれるでしょう。
クロムエクセルは「育てる」を楽しむ革


クロムエクセルは育てることを楽しむ革とよくネット上で見かけます。
一般的に、コンビ鞣しで鞣された革はタンニン鞣しの革よりもエイジングが起こりにくくなりますが、クロムエクセルは別だと言えます。



コンビ鞣しとはクロム鞣しを施した後、その後にタンニン鞣しする製法でクロム鞣しとタンニン鞣しの良いところをもつ鞣しです
実際、同じコンビ鞣しのキプリスのシラサギレザーはほとんど変化しません。下動画のシラサギレザーのラウンドファスナー財布は購入後2年が過ぎ、10ヶ月以上ガシガシ使いました。
少し傷がついたくらいで、今の所目立つ変化はありません。
しかし、クロムエクセルは違います。
後ほど説明する、茶芯というクロムエクセル独自のエイジングが楽しめます。
このホーウィン社のクロムエクセルを最大限に引き出し、最も高い技術で仕立てたのがGANZOのGH5-Cシリーズです。
GANZOのGH5-Cシリーズは、次のような方に最適な選択です。
- 日々の水や傷を気にせず、ラフでタフに使いたい方
- ツヤツヤに輝くエイジングよりも、ヴィンテージ感あふれる「茶芯」の変化を楽しみたい方
- シェルコードバンとは全く違う、個性的でワイルドな表情の革を求めている方
- お尻に財布を入れる習慣のある方(擦れて茶芯が現れやすいのでエイジングが楽しめる)
僕自身は尻ポケの習慣はないのですがクロムエクセルの茶芯を楽しみたいので、あえて尻ポケをやっています。





茶芯が出てくるのを毎日楽しみにして、尻ポケしてます
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なぜクロムエクセルは特別な魅力を持つのか?


ホーウィン社の2大巨頭、クロムエクセルとシェルコードバン
アメリカの名門タンナー・ホーウィン社には、世界的に有名な2つのレザーがあります。一つは「革のダイヤモンド」と称されるシェルコードバン。そしてもう一つが、100年以上の歴史を持つこのクロムエクセルです。
クロムエクセルは牛脂・蜜蝋・魚脂など4種類以上の特性の違うオイルを、じっくり時間をかけて浸透させています。これにより、油分が非常に豊富でしっとりとした質感を持ち、優れた耐久性を実現しています。
水や傷に対してもシェルコードバンより圧倒的に強いのがクロムエクセルのメリットです。
もともとはワークブーツ用に開発されたレザーというのもうなずけます。


クロムエクセル最大の特徴は「茶芯」のエイジング


クロムエクセルのエイジングの最大のだいご味が「茶芯」です。クロムエクセルは、コンビ鞣しなので、先にクロム鞣しが施され、その後タンニン鞣しを行うことで表面が茶色になります。その後を透明感のあるアニリン染めで塗装しています。
そのため、使い込んで表面が擦れてくると、下地の茶色が顔を出し、まるでヴィンテージのレザージャケットのような深みのある絶妙なコントラストが生まれるのです。傷がつくほどに味わいが増し、「自分だけの革」に育っていきます。
MIC(ミック)というブランド公式サイトにも詳しく記載されていますのでご覧になってみてください。
MICの公式サイトを見てみる

GANZOのGH5-Cシリーズから見るクロムエクセルの魅力
僕のyoutubeチャンネルで紹介されているのが、GANZOの「GH5-Cシリーズ Lファスナー二つ折り財布」です。
内容をまとめますと、
- 質感と価格:
シェルコードバンが「ギュッと密度が詰まった」硬質な質感なのに対し、クロムエクセルはしっとりと柔らかい手触りです。しかし、耐久性は非常に高く、価格もシェルコードバンに比べるとリーズナブルで、手に取りやすい魅力があります。 - デザイン:
「GH5Cシリーズ」は、GANZOの「G」とホーウィンの「H」を冠した特別なシリーズ。外側にGANZOとホーウィンの刻印が並んで刻まれているのは珍しく、所有感を満たしてくれます。「C」はコンパクトを表します。
時代に合わせて小型化されたデザインは、現代のキャッシュレススタイルにもマッチします。 - エイジングの実例:
動画内でも触れられていますが、数年間使い込まれたクロムエクセルの財布は、表面の黒光りする部分と、擦れて現れた下地の茶色が美しいグラデーションを描き、唯一無二の風格をまといます。新品の状態からは想像もつかないほどの「味」が出てくるのが、クロムエクセルの真骨頂です。
となります。
個体差が少ないクロムエクセル
クロムエクセルに比べて、ホーウィン社のシェルコードバンは個体差が大きく、どれを選ぶか悩みます。


しかし、クロムエクセルはシェルコードバンに比べると個体差が小さいのも特徴の一つです。
下の画像は僕がGANZO大阪店様で購入した時に出してもらったのです。


黒なのであまり個体差は分かりにくいのですが、それを考慮しても、どれもほぼ同じだったので、僕はあえて仕立てる時についてミシンの圧の跡がついたものを選びました。



GANZO大阪店のスタッフさんにこの線について質問したところ、ミシンの圧力がかかった跡ですと教えてもらいました



これはこれで個性だと考え、この個体を選びました


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【GANZO】GH5-Cシリーズ(クロムエクセル) Q&A


- GANZOの「GH5Cシリーズ」とはどのような特徴があるのですか?
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「GH5C」は、GANZOとホーウィン社のコラボレーションを示す特別なシリーズ名です。「G」はGANZO、「H」はホーウィンを意味します。「5」は、このコラボシリーズの第5弾であることを示しており、旧作(GH4)よりもさらにコンパクトに設計されているのが特徴です。
末尾の「C」はCompactを意味しています。外側にGANZOとホーウィンの両方の刻印が並んで押されているのはこのシリーズならではの仕様で、革好きの所有感を満たす特別なデザインです。
- クロムエクセルの財布を使うときに注意することはありますか?
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日常使いではあまり水に強いし、ある程度の傷は元に戻りますので細かいことは気にせずにガッツリ使い込めるのがクロムエクセルの魅力です。
シェルコードバンに比べて水には強いのですが、オイルが多いので撥水するだけです。防水ではありませんのでご注意ください。
ただし、一つだけ注意点があります。
それは内装のポケットにカードを入れすぎないこと。
クロムエクセルはオイル分が多く柔軟性が高い革ですので、あまり多くのカードを入れすぎると伸びてしまう可能性があります。カードはできるだけ1枚、多くても2枚までをお勧めします。
- クロムエクセルはオイルが豊富とのことですが、特別な手入れは必要ですか?
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基本的には、乾いた柔らかい布での乾拭きや、馬毛ブラシでのブラッシングで十分です。
クロムエクセルはオイルを非常に多く含んでいるため、頻繁なオイル塗布は逆に革を柔らかくしすぎたり、シミの原因になったりする可能性があります。
カサつきが気になってきた場合にのみ、ごく少量のオイル(マスタングペーストなど)を薄く塗り込む程度で問題ありません。むしろ過度な手入れは不要で、ラフに使えるのがこの革の魅力です。
- クロムエクセルは傷がつきやすいと聞きますが、目立つ傷がついたらどうすればいいですか?
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オイルドレザーの特性上、爪で引っ掻いただけでも傷がつきやすいのは事実です。
しかし、それがクロムエクセルの「味」になります。浅い傷であれば、指で優しく擦ることで革内部のオイルが移動し、目立たなくなることがほとんどです(プルアップ効果)。
深い傷も、使い込むうちに周りの革と馴染み、茶芯が現れることで、かえってヴィンテージのような風格を増していきます。傷を「消す」のではなく「育てる」という感覚で付き合っていくのが、この革を最大限に楽しむコツです。
- クロムエクセルの「茶芯」エイジングと、コードバンのエイジングの最大の違いは何ですか?
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エイジングの種類がまったく違います。
- クロムエクセルの「茶芯」は、表面の塗装が擦れて「下地(茶色)が現れる」という、いわば「削れていく」経年変化です。これにより、使い込んだ箇所が茶色く変化し、武骨でヴィンテージ感あふれる独特の表情になります。
- シェルコードバンのエイジングは、革そのものが変化し「深い艶(ツヤ)が増していく」ものです。表面が削れるのではなく、圧力や摩擦によって革の繊維が寝て、光沢が生まれます。また、大きく曲がる部分には波打つような美しい「うねり」が現れるのも特徴です。


GANZOクロムエクセル まとめ


今回はクロムエクセルの魅力とGANZOがホーウィン社のクロムエクセルレザーを採用して仕立てたGH5-Cシリーズについて、その魅力と特徴を解説しました。
- コンビなめしと豊富なオイルから生まれるタフでしなやかなレザー
- エイジングの最大の特徴は、下地の茶色が現れる「茶芯」
- 傷さえも味わいとなり、自分だけのヴィンテージ感を育てることができる
- 同じホーウィン社が鞣したシェルコードバンとは全く異なる個性と魅力を持つ革
もしあなたが、水や傷に気遣いなしで、日々の生活の中でガシガシ使い込み、共に時間を刻むことで完成する「自分だけの革」を求めているなら、GANZOのクロムエクセルは最高の選択となるでしょう。