コードバンは近年約2年〜3年のサイクルで値上げが続いてますが、2026年度に値上げされる可能性が高いです。国産だけでなくホーウィン社、ロカド社もさらなる値上げの可能性がありますので、ご購入を検討中の方は、早めのご購入をお勧めします。
コードバンは「今が一番お安い」のがここ数年の傾向となっています。
「顔料染めのコードバンは、エイジング(経年変化)せずに劣化するだけ」だと思っていませんか?
美しいエイジングを求めてコードバンを選ぶとき、顔料染めというだけで選択肢から外してしまっているあなたへ、この記事はその常識を覆す衝撃の内容です。
実は、顔料染めは劣化するだけという思い込みでいると、他のコードバンでは決して味わえない、顔料染め独特の美しいツヤを育て、楽しめる機会を逃してしまうかもしれません。
何を隠そう、革マニア歴20年を自称する僕自身が「顔料染めコードバンは劣化してヒビ割れてくるだけ」。長い間そう思い込んでいました。

友人の顔料染めコードバンを見るまではそう思い込んでいました
しかし先日、友人が10年以上愛用したキプリス製の顔料染めコードバンを見て、その考えは180度覆されたのです。
この記事では、私の固定観念を破壊した「顔料染めコードバンの驚くべきエイジング」について、実例の画像や持ち主の声を交えながら徹底解説します。
この記事を読めば、顔料染めコードバンが持つ本当のポテンシャルと、その奥深い魅力を知ることができます。
顔料染めコードバンのエイジングについて正しい知識を身につけ、あなただけが見ることができる特別なコードバンを楽しんでいただきたいと思っています。
顔料染めコードバンのエイジング!常識を覆す驚異的変化

「顔料染めコードバンはエイジングしない」。これは、革好きの間で長らく定説とされてきました。しかし、僕の友人が10年以上使い込んだキプリス製の小銭入れが、その常識を根底から覆してくれたのです。
「顔料染めは劣化するだけ」は間違いだった

これまで僕自身、顔料染めコードバンに対して「ペンキのような塗料で覆われているため、いずれひび割れてボロボロになる」という、ランドセルのようなイメージを持っていました。革本来の油分が表面に現れるような、深みのあるエイジングは期待できないと考えていたのです。

子供の頃のボロボロになったランドセルの記憶が、顔料染めコードバンに対して偏見をもつ原因だと思います

50年前と今とでは塗装技術が比較にならないほど進化していると推測します
しかし、目の前に現れたのは、そんな僕の考えを完全に打ち砕く、見事なエイジングを遂げたコードバンでした。
下の動画は10年かけてエイジングした顔料染めコードバンと全く同じものです。
商品名はキプリスのコードバン&ベジタブルタンニンレザーの小銭入れ、色はワインです。
朝日を浴びて輝いてますが、やはりマットな色味があります。
しかし、そのマットな質感も日常使いだけのエイジングでピカピカのコードバンになるのです。
この二つの顔料染めコードバンは、10年以上キプリスで販売され続けているコードバン&ベジタブルタンニンレザーというシリーズの小銭入れです。デザインや縫製など仕立ては全く同じものです。
キプリスの顔料染めコードバン(コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズ)をみてみる衝撃!! 10年尻ポケしたキプリス製顔料染めコードバンの美しいツヤ

上の画像は友人が10年以上「ケツポケ(お尻のポケット)」で使い込んだ、キプリス製の顔料染めコードバン小銭入れですが、
この濡れたような、深く静かなツヤ。まるで水面のように滑らかで、オイルコードバンやアニリン染めとは明らかに異なる、独特の輝きを放っています。
色の抜け方も絶妙で、まさに「見事なエイジング」としか言いようがありません。
10年間、お尻のポケットという過酷な環境で使われていたにも関わらず、縫製のほつれやコバの大きな傷みも見られません。これはキプリスの縫製とコバ処理の高い技術と耐久性があっての結果です。
驚くべき耐久力を持つキプリスのコバ
コバ部分も驚くべき耐久性があります。
持ち主の友人によると、尻ポケだけで10年以上使用してたそうですが、
お尻のポケットに入れるときにコバ部分が擦れることが10年(友人によると実質12年以上)使い続けると軽く1万回はあった計算になります。

1日3回出し入れしたとして、10年で10,950回になります
しかし、上の動画の通り、コバは今も美しい状態を維持しています。
これはキプリスのコバ処理技術の高さ、具体的には耐久性と美しさが非常に優れているという証拠です。
キプリスの顔料染めコードバン(コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズ)をみてみる顔料染めコードバンが美しくエイジングした理由

では、なぜ「劣化するだけ」と思われていた顔料染めコードバンが、これほどまでに美しく変化したのでしょうか。僕は3つの理由があると考えています。
理由1:日常の動作が最高のメンテナンスになっていた

持ち主である友人は、特別な手入れを一切していなかったと言います。ただ毎日、ズボンの尻ポケットに入れていただけ。
つまり、歩いたり座ったりする際の「ズボンの布との摩擦」と「持ち主の体温」が、絶え間なく革の表面を磨き続けることになり、結果的に最高のメンテナンスとなっていたのです。顔料の層が剥がれ落ちるのではなく、磨き込まれることで、あの独特のツヤに昇華したのだと推測できます。
理由2:日本の高い技術力(新喜皮革×キプリス)
このキプリスのコードバン&ベジタブルタンニンレザー小銭入れは、世界的に評価の高いタンナー「新喜皮革(しんきひかく)」社製の顔料染めコードバンを使用し、人気ブランド「キプリス」が仕立てたものです。
質の低い顔料染めであれば、10年間の圧力と摩擦に耐えられず、塗膜が剥がれてしまったでしょう。新喜皮革の高度な顔料染め技術と、キプリスの堅牢で丁寧な仕立て。この2つの最高技術が組み合わさってこそ、この奇跡的なエイジングが生まれたのです。
理由3:コードバンならではの強靭な耐久性
そもそも、10年以上もの間「ケツポケ」で使い続けて型崩れしないのは、素材が強靭なコードバンだからこそ。牛革など他の革であれば、同じ使い方ではここまで美しい形状を保つことは難しかったはずです。
コラーゲン繊維が緻密に並んだコードバンならではの耐久性があって初めて、長期間にわたる「摩擦によるメンテナンス」が可能になったと言えるでしょう。
キプリスの顔料染めコードバン(コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズ)をみてみる顔料染めコードバンのエイジング Q&A

Q1. 本当に手入れはしなくていいの?
A1. 今回の例では10年以上手入れなしで美しいツヤが出ていましたが、これは日常的な摩擦がメンテナンスの代わりになった非常に特殊なケースです。傷がつかないようにホコリを払うため、メガネ拭きなどでの乾拭きなど、基本的なお手入れはしていただいた方が、より長く美しい状態を保てます。
ワックス、クリームは浸透しないので特にぬる必要はありません。10年以上、全くお手入れなしのこの友人の顔料染めコードバンがそれを実証してくれています。
Q2. どのブランドの顔料染めコードバンでも同じようにエイジングしますか?
A2. 必ずしも同じになるとは限りません。今回の美しいエイジングは、質の高い鞣し加工と顔料染めが施された新喜皮革のコードバンと、キプリスの堅牢な仕立てという「品質の高さ」があってこそ実現したと考えられます。長く愛用するためにも、信頼できるブランドの製品を選ぶことが重要です。
おすすめは世界最高峰の仕立てと革質やリーズナブルな価格を考えるとキプリス製の顔料染め「コードバン&ベジタブルタンニンレザー」シリーズになります。
僕自身、どうしてもこのツヤを持ったコードバンが欲しくて、2025年10月からキプリスで同じものを購入して、友人と同じ環境である尻ポケで毎日使って、じっくりとエイジングするのを待ち続けています。
キプリスの顔料染めコードバン(コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズ)をみてみるQ3. 「尻ポケ」以外でもエイジングは楽しめますか?
A3. もちろん楽しめます。バッグの中やジャケットのポケット、手で触れる頻度など、使い方によってエイジングの表情や醸成される時間は千差万別に変わります。自分らしい使い方で、世界に一つだけの経年変化を育てることこそが、革製品の最大の醍醐味です。
ただし、僕の場合はこの記事の画像と同じエイジングによるツヤが欲しいので、友人と同じ環境である尻ポケで日々のエイジングを楽しんでます。
Q4.何年くらいで美しいつやが出ますか?

A4.使い方によりますので、具体的に数字で何年とはお答えできません。僕の友人は10年以上毎日ずっと尻ポケしてましたが、僕の推測では少なくとも3年から5年くらい毎日尻ポケしてるとこのようなツヤになると推測しています。
ただし、背広やジャケットの前ポケットや胸ポケットなど、尻ポケに比べて圧がかかりにくい環境だとこのようなツヤツヤになるのはさらに時間がかかると思います。
顔料染めコードバンのエイジング まとめ

今回の友人の一品との出会いは、僕の「顔料染めコードバンはエイジングしない」という長年の固定観念を完全に破壊してくれました。
正しくは、「質の高い顔料染めコードバンは、驚くほど美しくエイジングする」のです。
それは、オイルを塗り込むような従来のエイジングとは一線を画す、表面が磨き上げられることで生まれる、静かで滑らかなツヤの世界。革の世界の奥深さを、改めて思い知らされました。
もしあなたがこれまで顔料染めコードバンを敬遠していたなら、ぜひ一度、その選択肢を再検討してみてください。そこには、まだ見ぬ美しいコードバンの世界が待っているかもしれません。
